中小企業新事業活動促進法

中小企業新事業活動促進法(制度融資活用に向けた特別な法律)

中小企業新事業活動促進法とは

平成17年、国は中小企業新事業活動促進法(以下「新事業活動促進法」)という法律を作りました。
この法律は「やる気のある中小企業」に対し、特に資金面で公的施策(制度融資や助成金等)を使ってバックアップしましょうという法律です。

では、「やる気のある中小企業」とはどういう企業か?
◎ 新たな事業にチャレンジして売上を上げたい
◎ 既存事業を見直し、活性化して売上を上げたい
この上記2項目に対し、下記の「新たな取り組み」を行って業績をあげようとする企業のことを言います。

「新たな取り組み」とは

@新商品の開発又は生産
A新役務(サービス)の開発又は提供
B商品の新たな生産又は販売方式の導入
C役務の新たな提供の方式の導入、その他の新たな事業活動、のことを言います。

やる気のある中小企業とは、中小企業新事業活動促進法承認企業のこと

「やる気のある中小企業」とは、新事業活動促進法で求める要件を満たした企業で、各都道府県知事が承認した企業のことを言います。では、どのようにすれば「新事業活動促進法承認企業」になれるか、下記にその具体的なステップを記します。


  • 「新たな取り組み」に関する事業計画書を作成する。

  • 上記事業計画書にそって、各都道府県で定める新事業活動促進法
    承認に向けた申請書及び売上利益計画書、キャッシュフロー計算書、制度融資活用希望金額、借入金返済計画書等を作成する(各都道府県によって提出書類に差異あり)

  • 各都道府県の窓口に申請書類一式を提出。このとき、面接も実施。

  • 各都道府県によって、現地調査を実施する場合がある。

  • 各都道府県の有識者が集まって審査会を実施。

  • 審査会の審査に合格すると、承認合格通知があなたの会社に届く。

  • ※承認後、知事の名前が入った証明書を元に金融機関と制度融資活用に向けた交渉に入る。

どんな企業が中小企業新事業活動促進法の承認企業になれるのか

1.中小企業新事業活動促進法承認企業は全業種対象
 新事業活動促進法では、その承認対象企業を全業種と規定しています。しかし、
私のこれまでの経験上、各都道府県とも公序良俗に反する企業は対象から外しています。

2.業歴は1年以上
 決算を1期終えているかどうかでなく、審査合格までの日までに業歴が1年を超えていることが条件となります。

3.中小企業の定義は?
  新事業活動促進法における中小企業(法律では「中小企業者」)の定義は、下記の資本金又は従業員のいずれかの条件を満たせば中小企業となります。

業種 資本金 従業員

製造業等(運送業・建設業等を含む)

3億円以下 300人以下

卸売業

1億円以下 100人以下

サービス業

5,000万円以下 100人以下

小売業(飲食業を含む)

5,000万円以下 50人以下

ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く。)

3億円以下 900人以下

ソフトウェア業又は情報処理サービス業

3億円以下 300人以下

旅館業

5,000万円以下 200人以下

例えば、卸売業の場合、従業員が100名を超えていても、資本金が9000万円であれば中小企業ということです。ですから、上場企業であってもどちらかの基準を満たしていれば、この法律上では、中小企業ということになります。

中小企業新事業活動促進法承認企業への公的施策(制度融資や助成金等)

中小企業新事業活動促進法承認企業には、資金面から様々な公的施策(制度融資や助成金等)を用意しています。下記に、公的施策の代表例を示します。


主な公的施策(制度融資や助成金等)の例


1.補助金・助成金(以下、助成金等)   あなたの会社がこれからチャレンジしようと思う事業に対する助成金です。
  新事業活動促進法承認企業になると、承認企業だけが応募できる助成金等があります。

 

 例) 東京都  経営革新対策等補助金2000万円、市場開拓助成金300万円等
  ※他助成金等を受ける際、新事業活動促進法承認企業は他企業より優遇され、
   助成金等の採択可能性が高くなります。



2.政府系金融機関による最優遇利率の制度融資。20年返済(うち2年間据置)  ※東京都 融資期間は運転資金5年以内、設備資金なら15年以内で、しかも、
  利息は1%〜3%程度超低金利。
 ※民間金融機関を通じても実現可能です。

3.信用保証協会の保証枠が倍増!(特別枠が設定)、制度融資の活用へ

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中小企業新事業活動促進法の承認企業になるとこんなメリットがある

新事業活動促進法承認企業になると、公的施策(制度融資や助成金等)以外でどんなメリットがあるか。下記に記述しましたのでご参照ください。



@今まで貸してくれなかった銀行から「是非当行で!」という依頼がくることがある ポイント1 一般枠とは別枠の特別枠での制度融資が可能になる
ポイント2 中小企業新事業活動促進法の承認企業になると銀行の格付けが上がる
※金融庁検査マニュアル別冊 中小企業融資編 P6 (2)経営者の資質

A助成金・補助金の採択可能性が高くなる(申請時にポイント加算)
 助成金は所定の申請書に事業計画書を記入します。申請書は一般的に加点方式で、多く点をとった企業に採択がおります。多くの助成金の申請書の中に、中小企業新事業活動促進法の承認を受けているかどうか確認する欄があります。つまり、承認を受けた企業には、ポイントが加算されることがわかります。

B都道府県や市区町村から仕事の紹介、依頼がくるようにな
新事業活動促進法の承認企業になると各都道府県のホームページに会社名が掲示されます。

C展示会を無料で出させてもらえる
新事業活動促進法承認企業なら無料で出展できる展示会(東京ビックサイト等)がある。東京都の場合は、有料で出展した場合に300万円まで助成する助成金もあります。

Dマスコミからの取材依頼くるようになる
特に、地方の企業の特徴ですが、地元の新聞にプレスリリースを打つと新聞に掲載されたり、取材を受けたりということがあります。東京都の場合は日刊工業新聞に掲載されます。

E研究機関から依頼や提携の話がくるようになった
特に、ものつくり系の会社、特殊な技術をもっている会社等にある事例です。

F営業的にも会社の信用度があがり、受注率がアップにつながる。